焼酎ニューヨークスタイル

ny-style45_thumb NYで酒造組合中央会の「焼酎&泡盛イベント」

3月4日から8日までの5日間、ニューヨークで日本酒造組合中央会の主催で商談会と焼酎&泡盛セミナー、試飲会が3箇所で行われた。今回、日本から参加したのは薩摩酒造、山元酒造(オガタマ酒造)、陣屋酒造、小正醸造、吹上焼酎(大関)、高橋酒造、京屋酒造、多良川、壱岐の蔵の10社。
それぞれのイベントを紹介する。

●大使公邸:「Izakaya Ultimate Shochu Night」

オープニングは4日の在ニューヨーク日本国総領事・大使公邸での「Izakaya Ultimate Shochu Night」。領事館や大使館、国連関係者、ホテルやレストラン関係者らを招待。高橋礼一郎大使が九州出身で大の焼酎ドリンカーと挨拶し会場を沸かせ、焼酎は低カロリーでヘルシーと来客にもPR。そして、コーネル大学のスポーツ医学サイエンティストで焼酎大使の異名を持つステファン・ライマンさんが焼酎の原料や飲み方についてセミナーを行った。セミナーの後は、試飲会、お寿司などの日本食も振舞われた。

会に来ていたベルギー出身の国連職員、ベンジャミン・マルレさんは「日本人の友人と焼酎を飲んだことがあるが、ライマンさんのセミナーを聞いて焼酎について、たくさんのことを学んだ。私は米焼酎が好き、カクテルではなく、ストレートで飲む方がいいね」。アルコール飲料記者のジェフ・ジィオラティさんは「焼酎にはたくさんの種類があるのにビックリした。アルコールを食事とあわせて飲むという考えは米国にはなかった」と話した。米国は州ごとに酒税法が違うのだが、ニューヨーク州では焼酎はハード・リッカー扱いなので、ハード・リッカーのライセンスをもたいない、レストランでは焼酎を扱えない問題がある。ニューヨーク州の法律を改善し、焼酎がソフト・リッカー扱いになれば、ニューヨークで焼酎がもっと普及するのではないかという声もあった。

来客に焼酎の説明をする蔵元

来客の焼酎の説明をする蔵元

●ブルックリン・キッチン:「焼酎&泡盛セミナー&試飲会とフード・ペアリング」

5日はブルックリンのマーケット「ブルックリン・キッチン」のイベント・スペースで「焼酎&泡盛セミナー&試飲会とフード・ペアリング」が開かれた。同店はキッチン用品を扱う店としてオープンしたが、食材も扱うようになり、店内で始めた料理教室が人気を博している。この日も最初にライマンさんがセミナーを行い、その後、用意されたチーズやバター、ナッツ類、鳥の皮肉、キムチ、スモーク・サーモン、アンチョビ、金柑など約20種類の食材と焼酎をペアリング。同店のシドニー・ウィルコックさんは「スパイシー、ソルティー、スゥイート、酸味のあるそれぞれの違った味覚の食材をそろえた。皆さんにはそれぞれ、焼酎と合わせた舌の感覚を楽しんで欲しい」と話す。参加者はお皿に食材を乗せて、各蔵の各テーブルを回り、説明を聞きながら焼酎とフードの相性を楽しんでいた。同店のウェブサイトを見て参加したというゾーイ・バンダウィードさんは「焼酎については何も知識がなかったので、知りたいと思って参加した。焼酎にはたくさんの種類があるので驚いた。セミナーは教育的なプログラムでとても勉強になった」。また、別の参加者は「焼酎についてはまったく知らなくて、日本のアルコールということしか知らなかったが、セミナーを聞いて焼酎とソジュの違いもわかった。キムチと芋焼酎の愛称が良かった」と話した。よく同店の料理教室に参加するという人もいて、焼酎についてまったく知らないという米国人にもPRができ、こういった場所でのPRイベントも地道に続けていくことが米国での焼酎の普及につながるのではないか。また蔵元に参加者からはどんな質問があったかと聞いたところ「同じ芋焼酎でも黒麹と白麹でどうして味が違うのか、常圧蒸留と減圧蒸留の違いは?などかなり専門的な質問もあった」と話ていた。

焼酎の試飲をする参加者

各テーブルで試飲する参加者

●ジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンター:「ニューヨーク・インターナショナル・レストラン&フードサービス・ショー」

6日から8日までの3日間に渡って、マンハッタンのジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターで「ニューヨーク・インターナショナル・レストラン&フードサービス・ショー」が行われ、焼酎&泡盛メーカー9社が参加した。同ショーには期間中、レストラン関係者やバイヤーなど約1万8000人の来場者があつた。取材に来ていた記者が会場の540の出展ブースの中から選出する最も優れた新商品に「Pitch the press」に15 社が選ばれ、高橋酒造の米焼酎の梅酒「うめぽん」も受賞した。

3日間の間、1日2回、会場に設けられたブースでライマンさんの焼酎&泡盛セミナーと焼酎ティスト・コンテストが行われた。セミナーを聞いていたレストランのマネージャーをしているというマイク・エズラティさんは「日本酒が好きだが、焼酎はまだ一度も飲んだことはない。焼酎についても知識を広げたいと思っている。今日のセミナーはとても判りやすかった。セミナーを聞いたので、焼酎について多少の知識ができた、今から会場の焼酎を試したい」と話した。コネチカット州から来たという来勝者のポール・ゾッコーさんはシトラスの焼酎が気に入ったという「マンハッタンは別として、コネチカットのレストランには焼酎は置いてない、焼酎のマーケティングがまだまだなのでは」と厳しい声も。

ティスト・コンテストは会場からの各回5人の参加者が選出されて行われ、最初に米、麦、芋焼酎の3種類を試飲し、次に目隠しの3種類を飲んで当てるというコンテストだったが各回とも全問正解者の米国人もいて感心した。

会場の来場者に話しを聞くと、日本酒は好きだけど、焼酎は飲んだことがないという声が多かった。ライマンさんの焼酎&泡盛セミナーはとても好評だったのでこのような機会を増やし、米国での焼酎の啓蒙活動を地道に続けていくことが大切なのだと思う。

会場内のジャパン・パビリオンに焼酎メーカーがブースを構えた

セミナーをするライマンさん

焼酎テイスト・コンテスト

3日間のジェビッツ・センターのショーを終えての各蔵の感想:

  • A社:初日の日曜日は人も多かったが、正直、権限がない人ばかり、ビジネスにつなげるには権限がある人が会場に来ないと意味がない。
  • B社:フランス料理のお店の人が来て、メニューに入れることを検討するといってくれた。輸入業者にアカウントをかけてくれるという人もいた、成果もあったのでよかったと思う。
  • C社:会場に来ている人は焼酎を知らない人がほとんどだったが、焼酎という言葉を知らない人にも、話しを聞いてもらい、商品を見てもらい、試してもらうこと、とにかく知ってもらうことが大事。興味があるといってくれた人には輸入業者を紹介した。
  • D社:反応は良かった。飲んだ人は98%、ナイス!と言ってくれた。沖縄という地名は米国の人も米軍基地があるので知っている人も多い。その沖縄で作っているお酒として泡盛をPRできる。2軒くらいオーダーも取れた。
  • E社:芋焼酎が人気があった。興味があるといってくれた人にはNYの輸入業者を紹介した。焼酎を知らない人が多かったが、まずは飲んで体験してもらうことが大前提。そこからビジネスの裾野を広げるのが大切。
  • F社:大盛況でした。3種類の芋焼酎を紹介しましたが、それぞれにリアクションがありびっくりしました。どうして同じ芋の種類なのに味が違うのかという質問や、ウィスキーは苦手だがこの焼酎なら飲めるという方もいました。匂いの利き分けがすごい人もいて、ビックリしました。甘くスィートな香りの方が、ショットで飲むお酒として米国でもいけそうだと。参加して手ごたえがありました。
  • G社:焼酎とは何かを教えなればならない。それがわかっただけでも良かった。和食系のマーケットへの焼酎の認知度を高めるには成果があった。ただ、他の出展者には清酒もワインもなく、厨房器具などの出展者が多く、相乗効果がなかった。賑やかさに欠ける。
  • H社:これは酒か?といってくる人が多く、焼酎を知らない人が多かった。芋焼酎が人気で思った以上に反応もよかった。米国ではアルコールをお湯で割るということがあまりないようで、焼酎をお湯で割ってあげたらビックリされた。米国では健康を気にしている人が多いので健康にいいと言うと受ける。参加して自分たちの勉強にもなった。
  • I社:3日間の内、最終日はレストラン関係者はほとんどいなかった。我々のビジネスに関係ないような人たちが来て試飲していく。このショーに出る意味があるのか、考えなければならないと思う。もっとレストラン関係者に情報を発信する場がニューヨークにはあるはず。フード・ショーだとアルコールに興味のある人は極一部しかいない。アルコールを探していいる人が来場者で来るショーを選んで出展したほうが良い。

ライター 石黒かおる

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