焼酎ニューヨークスタイル

ny-style19_thumb ハイエンドなバーで焼酎カクテル・イベント

佐賀県の蔵元と米国のNehan Sporits LLCとの共同開発で誕生した、麦焼酎(原酒35度)で作ったカクテルだけを提供するイベント「The Liquid Omakase / リキッドおまかせ」が、マンハッタンのローアー・イーストサイドにあるバー&ラウンジ「Experimental Cocktail Club (ECC)」で昨年9月に行われた。ECCは2007年にフランスのパリにオープンしたアメリカン・スタイルのカクテル・バー&ラウンジ。パリで人気を博し、その後ロンドンそして、昨年4月にニューヨークにもオープンした。

ジェシー・ファロウィッツさん
ジェシー・ファロウィッツさん

このイベントを企画したのはNehan Sporits LLCのジェシー・ファロウィッツさん。「ニューヨーカーは焼酎のことをまだよく知らない、こういったイベントを通して、焼酎のことを知ってもらうのが最善の方法。もちろん、最終的には米国人にも焼酎をロックで飲んでもらいたいが、最初の何年かは焼酎をカクテルで飲んでもらうのが一番良い方法だと思っている、ハイエンドのカクテル・バーで提供し、新しいアルコールとしていろんな味で楽しんでもらいたい。最初はどんなアルコールなのかと興味を持ってもらうことが大切。ニューヨーカーは常に新しい物をさがしているからね」と話す。
焼酎の原酒はアルコール度が高いので日本以外の国では受け入れられやすい。焼酎とウォッカとの大きな違いは度数。通常の25度ではカクテルにするには度数が低いとファロウィッツさんはいう。
この日サービスされたのは6種類の焼酎カクテルですべて14ドル。この日の店のメニューはこの6種類のカクテルのみで、ほかのお酒はサービスしないという徹底ぶり。お客様たちは焼酎ベースのカクテルを堪能していた様子。

私がこの日最初に飲んだのは「Monsier Provova Teur 」。昆布茶にざくろの実、ビート、ゆずそしてシャンパンなどを加えたきれいな紅色のカクテル。ほのかに甘く、すっきりとした味わい、グラスも可憐でオシャレ、ついクイクイと飲んでしまう。

シェーカーを振るバーテンダーのウィリーさん
シェーカーを振るバーテンダーのウィリーさん

バーテンダーのウィリーさんが一生懸命、シェイカーを振っている、目の前で次から次へと作られる、クリーム色のカクテルが気になり、それは何かと聞いてみると「Niko’s Gimlet」だという。それではと、私も2杯目に飲んでみた。ゆずジュースにライム・ジュース、エルダーフラワー・リキュールなどに卵白を加え、シェイカーでホイップした、ふんわりとクリーミーな味わい、きゅうりのスライスを乗せて。最後にぱらぱらと七味を振りかける、その七味がスパイスにきりりときいて不思議な味わい。
3杯目は「shisosmash」をいただきました。甘いシソ・シロップのナチュラルな味わいにほのかにシソの香りがするカクテル。グラスにシソの葉を乗せて。

焼酎カクテルを飲むお客様で賑わう店内
焼酎カクテルを飲むお客様で賑わう店内

アルコール関連の広告業界で仕事をしていたファロウィッツさんは、焼酎が世界で勝負できると直感し、前職を辞めて「焼酎に人生と夢を託す」とに決め、2010年から3年間、日本に滞在して約500種類の焼酎を飲んでリサーチを重ねた。日本では焼酎は居酒屋や家で飲まれるお酒。でも焼酎をスピリットとして考え、居酒屋や家以外でも飲めるお酒に位置づけることができると考えた。焼酎はウォッカやスコッチ、ジンに似ているのでウィスキー・バーに適してる。「日本でバーに行っても、ウィスキー、スコッチ、バーボンはあるのに焼酎がない、日本のお酒なのにどうして置いてないのか理解できなかった」という。非日本人は焼酎はスコッチやウォッカに近いと思っている。日本人の中には米国人は焼酎が好きじゃないと思っている人もいるが、そうではない、米国人は絶対に焼酎が好きだ」と話す。しかし、それには香りが大切。そして25度ではアルコール度が低すぎる。日本国外で勝負するには香りがライトで、スムーズでハイ・クォリティーな焼酎でないとだめだという。麦、米、芋と素材を試し、様々なアルコール度数を試行錯誤して最高のクォリティーを示す味と香りが35度の麦の原酒だった。居酒屋だけに止まらず、ハイエンドなウィスキー・バー、ラウンジ、カクテル・バー、ハイエンド・レストラン、グルメ・レストランでも勝負できると確信している。
ファロウィッツさんは「この麦焼酎を米国に紹介することにとてもエキサイティングしている」と話す。今後も毎月、ハイエンドのバーやレストランで焼酎カクテルのイベントを行う予定だ。

ニューヨークでこの麦焼酎の販売を始めたのは2013年の5月から。まだまだスタートしたばかり、現在はニューヨーク州のみで販売しているが、夢はパリ、ロンドン、ロサンゼル、サンフランシスコ、シカゴなど世界の主なコスモポリタン・シティでも飲めるようにすることだと目を輝かせた。

ライター 石黒かおる

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