焼酎ニューヨークスタイル

ny-style31_thumb 飲み方いろいろ、焼酎NY流


焼酎バー彩で提供された黒糖焼酎サングリア

昨年6月の1カ月間、マンハッタンの日系コミュニティー誌とレストランの共催で、ニューヨーク市とニュージャージー州のバーとレストラン約30店舗が参加し「NY Shochu Week」と銘打ったイベントが行われた。「日本酒に比べて、焼酎の知名度はまだ低い、このイベントで焼酎が少しでも焼酎の啓蒙活動に役立れば」と企画担当者。参加レストランで焼酎をオーダーしてアンケートに答えると抽選で日本行き往復航空券や焼酎ボトル、焼酎メーカーの前掛けやTシャツなどが当たるほか、期間中、参加店では焼酎ボトルの脇引きキャンペーンやオリジナル焼酎カクテルも登場した。

私もいくつかの参加レストランに行ってみた。

■焼酎バー彩:
1日だけの黒糖焼酎カクテル・ナイトを行い、鹿児島県の酒造会社の黒糖焼酎で作ったオリジナル・カクテルを提供。同焼酎はタンクの中で約3ヶ月間クラシック音楽を聞かせて熟成させた音響熟成酒だそうだ。この日の特別メニューでの彩オリジナル焼酎カクテルは下記の2種類。

黒糖焼酎サングリア:黒糖焼酎に梅酒、ソーダ、イチゴやブルーベリーなどのフレッシュ・フルーツを加えて(9ドル)
黒糖焼酎モヒート:黒糖焼酎にミント、ライム、ブラウン・シュガー、ソーダを加えて(8ドル)

店にいた男性客は「私の両親はプエルトリコ出身。私もプエルトリコにはよく行く。プエルトリコはラム酒が名産なので、同じサトウキビから作ったお酒を試してみたかった」。「黒糖サングリアはいいアイディアだと思う。米国人に馴染みのないアルコールを飲ませるにはアイディアが必要だ。でも、私は焼酎はストレートまたはロックで飲むの方が好き」と話す、なかなか通の米国人の常連客もいる。

今年2月、彩で黒糖焼酎のソーダ割りを頂いた。「黒糖焼酎は味があまり濃くないので、お客様にはロックがソーダ割を勧めている」とオーナーの彩さん。同店ではメニューにカクテルはない。「本格焼酎をカクテルにすることはありません。伝統的な焼酎の飲み方で飲んでいただきたい。お客様にはロック、水割り、お湯割りを勧めている」と話す。しかし「お客様からカクテルのリクエストがあれば作ります」とも。同店には約30種類の焼酎がメニューにある。


チェリー居酒屋の酎ハイ、クランベリー5スパイス


チェリー居酒屋の酎ハイ、レッドペッパー・シュラブ

■酒バー・シグレ:
「Straight Up」という焼酎をマティーニ風にいただく飲み方を提案。明治に創業した福岡県の酒造会社の 焙煎した大麦を原料にした焦がし麦の風味を持った麦焼酎を使い、シェイカーに氷と麦焼酎をいれ、シャカシャカと振った後は、冷やしたマティーニグラスに注いででいただく。「蔵元が大事に作った焼酎をカクテルにはしないという方針です。あくまでも水割り、ロックに続く新しく、賢い飲み方として紹介したい」という、マネージャーの岡田崇宏さんのアイディアだ。私もいただいてみた、氷をグラスに入れると氷が解けて味が薄くなってしまう。この飲み方なら焙煎麦焼酎の本来の味を楽しめるし、小さく切ったレモン・スライスを乗せてマティーニ・グラスでいただくのがとってもおしゃれ。

「Stalght Up」は、現在はメニューに定着して1杯8ドルで提供している。1週間の間に約15~20杯はでるという。同店には24種類の焼酎がメニューにある。


チェリー居酒屋、酎ハイを作るバーテンダーのウォーレンさん


酒バー・シグレのStraight Up

■チェリー居酒屋:
マンハッタンのミートパッキング地区にある高級居酒屋「チェリー」の姉妹店。昨年7月にブックリンにオープンした。マンハッタン店よりもリーズナブルな価格で楽しめる。店のオープンが遅れた為にイベントは7月末に行われた。こちらも1日だけの特別イベント。イベント当日は、佐賀県の麦焼酎を使った4種類の酎ハイを提供。最初にドリンク3杯とアペタイザー1品セットで27ドルという4枚つづりの特別セットのチケットを購入して1枚づつちぎって、オーダーして使うというシステムだった。

この日の酎ハイのメニュー:
●タンジェリン・ジャスミン:麦焼酎にタンジェリン、ジャスミン茶、レモン、ジャスミン・フローレットを加えて
●クランベリー5スパイス:麦焼酎にクランベリー、チャイニーズの5つのスパイス、レモンにドライ・チェリーを添えて。ほんのり甘いカクテル。
●セロリ・ハニーデュウ:麦焼酎にメロン、セロリ、バジル、ライムに七味をふりかけて。(なんと七味ですよ、七味!)
●レッド・ペッパー・シュラブ:ロースト・レッド・ペッパー、アップル・サイダー・ビネガー、山椒、フジリンゴを添えて。山椒のスパイスが効いて不思議な味に。

アペタイザーは下記の2品から選択:
●フライド・オイスター(カキフライ)
●チキン・スカリオン〔鶏肉とネギの照り焼き)

チェリー居酒屋には日本のパチンコ台のディスプレーもある。店の壁には地元ブルックリンのアーティストが描いた、日本の御伽噺のような絵が描かれている。絵のストーリーをお店のクリスさんに聞いたら、ストーリーはお客さんが自由にに想像して欲しいと笑って話していた。

最近、ブルックリンにも話題の日本食レストランがどんどん出来ている、モリモト・レストランにいたシェフが開いたラーメン店「Chuko」や「Hibino」は連日、店の前に行列ができているほどだ。客層も20代前半から30代と比較的若い年齢層が多い。

このような焼酎イベントが行われることで、ニューヨークでの焼酎の知名度も少しづつ広がっていくのではないかと思う。

ライター 石黒かおる

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