焼酎ニューヨークスタイル

ny-style11_thumb NYC「プレミアム酒&焼酎イベント」

ニューヨーク・マンハッタンのアスター・センターで6月2日、食品食材の輸出ビジネスを展開している西本貿易の「NYC: Nishimoto Premium Sake & Shochu Event」が行われた。当日は約380人のニューヨーカーが会場を訪れた。1912年に神戸で創業した同社は、今年で101年目を迎える。戦後、米国に現地法人を設立し、現在はニューヨークやロサンゼルスをはじめ全米各地に支店がある。

会場の入り口
会場の入り口

イベント会場焼酎ブース
イベント会場焼酎ブース

日本から米国への焼酎の輸出を始めたのは約20年ほど前から、当初は3、4銘柄しか扱っていなかったが、現在は約13銘柄の焼酎があるという。この日のイベントには焼酎メーカーでは山元酒造、薩摩酒造、霧島酒造の3社の蔵元が日本から参加していた。商品のみの出品は大口酒造の「黒伊佐錦」と久米島の久米仙の「泡盛/アメリカボトル」、「あらごし球美の梅酒」3銘柄。会場ではストレート、または氷を入れてロックで来場者に試飲してもらっていた。

山元酒造は芋焼酎の「さつま五代」と「さつま黒五代」を出品。今回はまだ米国で販売していない「さつま赤五代」も来場者に試飲してもらい、桜の花の形に縁取りされた赤いラベルも米国人好みで反応も大変良かった。米国で新商品として売り出す検討もしている。同社代表取締役の山元隆功さんは「米国は市場が大きいのがビジネスとして魅力がある。米国での売り上げも少しずつだが伸びている、米国で現地の人たちに飲んでもらうのが理想だ」と話す。米国でのビジネス歴は約8年。

来場者に焼酎の説明をする薩摩酒造の本坊敦子さん
来場者に焼酎の説明をする薩摩酒造の本坊敦子さん

薩摩酒造は麦焼酎「琥珀の夢」、「神の河」、「麦わら帽子」を出品。同社の本坊敦子さんは「売り上げとしてはカリフォルニア州の方が多いが、ニューヨーク州も少しずつだが伸びている。白系のバーにも我が社の商品が入っているようだが、二次卸のディストリビューターを通して出している州は、どこのお店に入っているか把握するのは困難」とも話す。米国でのビジネス歴は約15年。

霧島酒造は芋の種類が違う「赤霧島」と「黒霧島」を出品。今回は米国でのラベル登録をしていない「白霧島」も試飲用に持参。同社の吉野晃一さんは「2005年から米国でのビジネスを展開している、まずはニューヨーク在住の日本人に飲んでもらい、日本に帰った時にも飲んでもらえたらいい、今後は非日本食レストランにどのように焼酎を提案していくかが課題、提案の仕方次第で白系の店への伸びしろもみえてくると思う」と話す。

西本貿易の久野賢一さんは「ニューヨークでの日本酒、焼酎の需要はまだまだこれから伸びると思っている。今日のイベントでは日本酒や焼酎と愛称のいい食事やアペタイザーを提案しお客様にご紹介している。焼酎は日本酒に比べるとまだまだニューヨークでは知名度が低いが、ここ1、2年の間に焼酎の知名度も上がってきていると認識している」と話す。すでに日本食レストラン以外のフレンチ・レストランなどにも焼酎カクテルなどの飲み方を提案しているという。

会場では、焼酎を使ったカクテルも紹介されていた。正午から午後4時までの開催時間の間、1時間ごとに違った焼酎カクテルをサービス。この日会場でカクテルを作ってくれたのはブルックリンのバー「Tutu’s」のバーテンダー、ブレット・エルモンさん。テーマは夏のカクテル「アイランド(島)」。フレッシュでビターズも加えた少しスパイシーなカクテル。焼酎はカクテルにするにはウォッカなどと比べると度数が低いので多くの量を使わなければならないという難点もあるようだが、まずはカクテルという形で米国人に焼酎に親しんでもらうのが狙いだ。

会場でカクテルを作ってくれた、ブルックリンのバー「Tutu's」のブレット・エルモンさん
会場でカクテルを作ってくれた、ブルックリンのバー「Tutu’s」のブレット・エルモンさん

商品のみの参加の大口酒造の「黒伊佐錦」と久米島の久米仙の「泡盛/アメリカボトル」と「あらごし球美の梅酒」
商品のみの参加の大口酒造の「黒伊佐錦」と久米島の久米仙の「泡盛/アメリカボトル」と「あらごし球美の梅酒」

会場で紹介されたカクテル

Salty Dog

ジンの代わりに、久米島の久米仙の「泡盛/アメリカボトル」を、グレープフルーツ・ジュースの代わりに日本酒ベースの柚子リキュール「司牡丹の山柚子絞り」、そしてニューオリンズのPeychaud’s Bittersを加えて。ガーニッシュに浮かべたバジルの葉がカクテルの味をいっそう引き立てる。

Grog

昔ながらの船乗りのカクテル。ラムの代わりに芋焼酎の「赤霧島」を使い、砂糖の代わりに久米島の久米仙「あらごし球美の梅酒」、レモン・ジュースの代わりに「司牡丹の山柚子絞り」にOrange Bitterとシナモン・スティンクを加えて。オレンジ・ビターがピリリ感を引き立て、暑い夏には刺激的な味わい。

Madeira Cocktail

「赤霧島」をつかったMadeira Cocktail
「赤霧島」をつかったMadeira Cocktail

ポルトガル領のマデイラ島が名前の由来のワイン。17世紀にイギリスとインドを往復する船に積まれていたマデイラ・ワインが赤道を航海するときの暑さで独特の風味が出て美味しくなったことにヒントを受け、加熱処理が行われるようになり今日の酒精強化ワインになったとか。
そのマデイラ・ワインに芋焼酎の「赤霧島」、 Angostura bittersを加え、ガーニッシュにbrandied cherryを添えて。甘い香りのカクテルで食後酒にも最適。

Shandy

「神の河」のカクテルShandy
「神の河」のカクテルShandy

ビールがべースのカクテル。原酒をホワイトオーク樫樽に3年間以上貯蔵した、長期貯蔵熟麦焼酎「神の河」にレモネードの代わりに「司牡丹の山柚子絞り」、ビールはアサヒ・スーパー・ドライ、そしてPeychaud’s Bittersを加えて。レモンスライスを添えて、さっぱりとした味わい。

ライター 石黒かおる

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