焼酎ニューヨークスタイル

ny-style21_thumb インターナショナル・レストラン&フード・サービス・ショーで「泡盛、飲んでクィミソーレ~」

マンハッタンのジェイコブ・ジャビッツ・コンベンション・センターで、3月2日から3日間「インターナショナル・レストラン&フード・サービス・ショー」が開かれた。毎年ニューヨークで行われる恒例の見本市で、今年も約500のベンダーが参加し、新商品やサービスを紹介。日本からもThe Organization to Promote Japanese Restaurants Abroad (JRO)や日系の食品輸入業社、西本貿易、サンワ・トレーディング、JFCがブースを出していた。主催者の発表では、3日間で約1万7000のレストランやフード関連業者が訪れたという。

会場内に設けられたJROの「Umami」パビリオン。さまざまな日本の食材やフード、アルコールなどを紹介。
会場内に設けられたJROの「Umami」パビリオン。さまざまな日本の食材やフード、アルコールなどを紹介。

JROのブース内に、サンワ・トレーディング/ワイン・オブ・ジャパン・インポート(NJ州)も出展、日本酒と泡盛を出品していた。
紹介されたのは創業から127年の歴史のある沖縄県の酒造会社の泡盛が2銘柄。樽貯蔵した古酒を私も試飲してみたが、樽の甘い香りがフワッとしてまろやかな口当たりでいて、しかもコクがあり、納得の味。日本でも販売している泡盛だが米国では別銘柄で販売しているという。卸値はボトル1本40ドル弱で、レストランに入ると約100ドルくらいになるとの予想。会場を訪れていた、マンハッタンの日本食レストラン関係者は「うちの店では卸値の3倍の値をつけて出しますが、グラス売りもできるので、グラスでは飲みやすい価格で提供できると思う」と話す。

来場者に泡盛の説明をするサンワ・トレーディング/ワイン・オブ・ジャパン・インポートの木下雄大さん
来場者に泡盛の説明をするサンワ・トレーディング/ワイン・オブ・ジャパン・インポートの木下雄大さん

サンワ・トレーディング/ワイン・オブ・ジャパン・インポートの木下雄大さんは「この樽貯蔵の泡盛は想像以上にお客さんの反応がいい。インパクトや深みがあり、ウィスキーが好きな方に勧めやすい」と話す。また、「沖縄には米軍基地があるので、泡盛を知っている米国人も多い、今後、米国で泡盛をもっと広げていくことが出来るのではないか」という。

「樽貯蔵の泡盛を試飲する」ルー・プロベンザーノさん(左)と友人
「樽貯蔵の泡盛を試飲する」ルー・プロベンザーノさん(左)と友人

樽貯蔵の泡盛を試飲したルー・プロベンザーノさんは、「泡盛は初めて飲んだが、おいしいね。レストランに置いてあったら、飲んでみたい」。
今後の焼酎の販売展開について、木下さんは「ニューヨークにはバーがたくさんがある。我々の目標をそれらのバーに焼酎や泡盛を置いてもらうことにすると、ウィスキーやウオッカ、ジンなどがライバルとなるウィスキーとの対決は種類も多いのでなかなか難しい。焼酎や泡盛はまだまだ知名度も低いし、日本人経営のマーケットにしか売れないのが現状、日本食以外の店に入って、米国人に焼酎や泡盛を理解してもらい、飲んでもらえるようになるには、あと10年くらいはかかるのではないか」と話す。
泡盛は15世紀琉球王朝時代に伝来したと伝えられ、タイ米で作るのが特徴だ。また沖縄では泡盛を海底に貯蔵する「海底貯蔵酒」もあるという。きっとそんな泡盛の歴史や貯蔵方法なども米国人に伝えることができたら、米国人も興味を持って飲んでくれるのではないか。「200年の歴史しか持たない米国人にとっては、お酒にまつわる歴史の話は興味深いものだ」とニューヨークの友人が言っていた。そんな泡盛の歴史をラベルに簡潔に英語で明記してみてはどうだろうか。きっと泡盛を飲む米国人にも、泡盛を口にするたびに遠い歴史へのロマンが生まれると思う。

来朝者に焼酎の説明をする大関サケUSAのエグゼクティブ・バイス・プレジデント船戸哲也さん
来朝者に焼酎の説明をする大関サケUSAのエグゼクティブ・バイス・プレジデント船戸哲也さん

また、会場ではJFC・インターナショナルは独自にブースを展開。焼酎は麦と芋焼酎を1点づつ出品していた。ブースにいた大関サケUSAのエグゼクティブ・バイス・プレジデント船戸哲也さんに話を聞いた。「米国では焼酎はまだまだ日系マーケットがメインの商品、米国人に売るのはなかなか難しい。ただ、焼酎はウォッカに比べると健康にもいいと少しずつではあるが伸びている」という。日本的には焼酎は「お湯割り」「水割り」などの飲み方だが、米国では日本式の飲み方には捕らわれない方がいいい。ウォッカよりもアルコール度数の低い焼酎でカクテルを作れば女性にも飲みやすい、優しいカクテルになるはず。例えば、芋焼酎に米国人はライムを絞って、テキーラみたいにして飲む。日本人的にはライムを入れるなんて、考えられないですがねと笑う。また米国ではどこのバーでもバーテンダーが様々なアルコールをブレンドしてカクテルを作る。新しい素材のA+Bで新しいカクテルを作ることができる。焼酎も彼らのそういうセンスを生かして、米国人に合った飲み方を提供できれば、焼酎も米国で広がっていくと思うと話した。

ライター 石黒かおる

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