焼酎ニューヨークスタイル

ny-style17_thumb ライマンさんの「第1回焼酎ティスティング・コンテスト」

昨年の秋(9月17日)にニューヨーク・マンハッタンのレストラン「酒舞」で「第1回焼酎ティスティング・コンテスト」が開かれた。コンテストを企画したのは以前、このコーナーでも紹介したスティーブン・ライマンさん。ライマンさんは2011年にニューヨークで開かれた「焼酎&泡盛ティスティング・コンテスト」に参加して、最終選考にも残った自称焼酎オタク。今度は自分でコンテストを企画してしまった。

ルールの説明をするライマンさん
ルールの説明をするライマンさん

この日の参加者は15人、参加資格はNY州の法律でお酒が飲める21歳以上であること。参加費は一人35ドル。コンテストはポイント制で行われ、1回戦、2回戦、準決勝そして決勝戦へと勝者が勝ち進む。
ライマンさんが「試飲した焼酎をノートに記録してはいけない。他の参加者との情報交換もダメ、自分の味覚と嗅覚の記憶だけが頼り」とルールを説明すると、参加者からは「えっ~ノートに取ってはいけないの?」と思わずため息が。

まず、1回戦では5種類の焼酎(一刻者/芋、黒甕/芋、琉球王朝/泡盛、さつま白波/芋、瑞泉/泡盛)をティスティング。この5つの中から各自がA、B、Cと印された3つのカップの焼酎をブラインド・ティスティングする。参加者には解答用紙(表1)が配られ、記入するのだが、参加者すべての焼酎の組み合わせが違うので、隣の人の回答をカンニングしてもダメ、各自の回答は異なる仕組みとなっている。正解1つに付き1点、全問正解者はボーナス点1点が加算され、最高点は4点となる。ただし九州出身者、焼酎メーカー、シェフ、ソムリエはボーナス点がもらえない。ライマンさんがPCに打ち込んで参加者全員のデータを管理。1回戦では全問正解者が一人いたが、福岡出身者なのでボーナス点は無しだった。

真剣にティスティング
真剣にティスティング

真剣にティスティングをする挑戦者
真剣にティスティングをする挑戦者

2回戦では、また別の5つの焼酎(赤霧島/芋、紅一刻/芋、巌窟王/米、白岳しろ/米、一粒の麦/麦)をティスティング。そして、その中から3つの焼酎のブラインド・テイスティングをする。こちらも参加者各自の焼酎の組み合わせは異なる。正解1つに付き2点、同点者がいた場合は、焼酎クイズで勝敗を決める。ボーナス点は2点で最高点は8点となる。2回戦の全問正解者は九州出身の女性だった。2回戦では同点者が3人。ここで生き残り焼酎クイズが出題された。

質問は:

  • 日本国内で他の都道府県より4倍もアルコール消費量が多い県は?(回答:熊本県)
  • 泡盛のお米はどこの米?(回答:タイ米)
  • ワインは地名がそのワインの銘柄になっているものがあるが、焼酎では?(壱岐焼酎、奄美黒糖焼酎、球磨焼酎など)

と、なかなか、高度な内容。
1回戦と2回戦を終えた時点で全問正解+ボーナス点が加算されれば最高点は12点(ボーナスが無い人は9点なる)。

準決勝には10人が進んだ。準決勝はこれまでに飲んだ10銘柄に加えて、試飲してない焼酎も加えて、各自が3種類のブラインドの焼酎を試飲して、麦、芋、米、黒糖などの素材を当てなければならない。1つ正解で2点、ボーナス点1点で準決勝の最高点は7点となる。蕎麦焼酎が混じっていた人もいて、「ずるい!」とコメント。全問正解の人はいなかったが、最高点が3人にその次は同点者が3人。同点3人の内、残り2人になるまで、素材当てティスティングが繰り返された。

採点するライマンさん
採点するライマンさん

決勝戦に残った5人
決勝戦に残った5人

決勝戦には5人が残った。決勝戦では、これまで試飲した10種類の焼酎の中から、7種類を試飲する。ただし、ワイルド・カードで1種類だけこれまで試してない焼酎がある。アルファベットが書かれたカップが7個、用意され、その7種類とそのワイルド・カードの焼酎はどれかを当てる。こちらも5人の回答はすべて異なる。決勝戦に残った5人はみな真剣な表情。なんども香りを嗅いで記憶と照らし合わせる。正解1つに付き1点で、ワイルド・カードを当てると2点で合計点で最高点は8点。

そして、焼酎自慢の参加者たちを蹴落して、最高得点の7点で優勝したのはターナー・フォールさん。「自分が優勝して本当にビックリしている。ただ、味を記憶しただけ。焼酎は時々は飲むけど、いつも焼酎をのんでいるわけではない。今日は試飲した焼酎を記憶しただけ1回戦ではアロマ、2回戦では味を記憶した」とニコニコ顔のフォールさんは母親が日本人、父親がドイツ人のハワイ生まれ。

優勝したターナー・フォールさん
優勝したターナー・フォールさん

そして2位は同点者が2人、共に九州出身。福岡県出身でミュージシャンの石塚晴海さんと熊本県出身の北野絢子さん。石塚さんは2011年にニューヨークで開かれた「焼酎&泡盛ティスティング・コンテスト」の優勝者でもある。

石塚さんは「ターナーに負けて悔しい。実は2011年のコンテストの前までは焼酎を飲んだことが無かった、米国に来たのは18歳の時で日本にいる時は未成年だったので焼酎は飲んだことがなかった。だから焼酎歴は1年半くらい」。北野絢子さんは「2011年の焼酎コンテストは知らないかったので参加できなかったが、私が出たら優勝していたと思う。今日はその実力をみせようと思って参加した。焼酎歴は15年。芋が好き」と話す。
参加したマンハッタン在住で、ソフトウエアー開発の仕事をしているジャスティン・カブさんは「焼酎が好き、2004年から焼酎を飲んでいる。週に数回は日本食レストランに行って焼酎を飲むよ、以前は日本酒を飲んでいたが今は焼酎。特に芋や黒糖の焼酎が好き」と話す。
また、マイケル・リコーさんは「勝敗は関係なく、今日はコンテストを楽しみに来た。とても難しかった。たぶん、舌は味を感じるそれぞれのポイントがあって、その正しい箇所で味を感じなければならないのだと思う、それがわかればいいのだけどね」と苦笑い。

コンテストを終えて、ライマンさんは「2011年にNYで行われた『焼酎コンテスト』に参加して楽しかったので、今回のコンテストを思いついた。コンテストは楽しいし、ニューヨークの人に焼酎を学んでもらうには最良の方だと思ったんでね。今回が第1回だけど、このようなコンテストを1ヶ月に1回くらいの割合で行い、10回くらい回を重ねたら各回のチャンピオンを集めて、決戦大会を1年後くらいに開きたいと思っている」と話した。

どんなチャンピオンたちが集まるのか、チャンピオン大会が今から楽しみだ。

写真左から2位の北野絢子さん、優勝したターナー・フォールさん、2位の石塚晴海さん
写真左から2位の北野絢子さん、優勝したターナー・フォールさん、2位の石塚晴海さん

入賞者への賞品:

  • 1位:焼酎「無言」1本と薩摩酒造Tシャツ
  • 2位:焼酎「川辺」1本
  • 3位:瑞泉Tシャツ
  • 4位:薩摩酒造帽子、手ぬぐい
  • 5位:白岳しろ携帯ストラップ

表1 コンテスト 解答用紙

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コンテスト 解答用紙
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ライター 石黒かおる

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