うんちくBOX

第11回 昔の文献にみる本格焼酎&泡盛

 深々と冷え込む夜道の先に、白梅がそっと香りを漂わせる…暦の上では春を迎えました。往古ならば春の雪見、観梅の宴が盛んでしたが、現代の私たちには難しいことです。終電の時間をにらみながら“鍋料理に熱い酒”、酔眼に揺れる梅のつぼみに感じる春も、なかなかの風流ではないでしょうか。

 さて、今から140年前の夜、沖縄の読谷山(よみたんざ)郷にある楚辺(そべ)村にも酔いどれ男が歩いています。男は知人の家で豚の屠殺をし、肉をすべて売り切ることができて上機嫌です。焼酎5合の振る舞いもあって、すっかり気分を良くした男は、村内で大声で歌を歌い始めました。村人に注意されても止めません。村の内でよそ者が騒ぎを起こすのは、村の恥とされた時代です。男は夜陰にまぎれてボコボコに叩かれ、大怪我を負ってしまいました。

 この事件は琉球の「平等所」(ひらじょ)という裁判所に記録されています。法令に従い、加害人である村人たちは、養生料の支払いと寺へ決められた日数の蟄居を命じられました。男は怪我を治すために薬のほか、山羊3頭、永良部ヘビ2本、タコ1杯を“服用”したため、それが養生料となったわけです。

 この結果は、現代にはなかなか当てはまらない事例でしょう。ただ、泡盛に酔い、歌い興じる大らかな南国であることも真実、道徳を大切にする「守礼の邦(くに)」であることもまた真実です。その両面がよく表れたお裁きのように思われます。

 「振る舞い酒に酔えば、唄のひとつも出てくるよな~」。良いことがあった晩には、140年前の酔いどれ琉球男に思いを馳せつつ、あったかいお湯割りを味わって下さい。また楽しさも格別でしょう。。

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