春秋謳歌

第29回 なでしこパワーに学ぶ

第29回 なでしこパワーに学ぶ

 新春の紙面で昨年の10大ニュースを読んでいると、なんと暗いニュースが多かった年だったかと改めて思い知らされた。その中で唯一輝きを放っているのが、女子ワールドカップドイツ大会で世界の頂点に立ったなでしこジャパンの大活躍である。小柄な体で、強豪を次々となぎたおしていく快進撃は痛快であった。世の男性を縮みあがらせるほどの強烈なシュートを繰り出す女性たちの力強さには圧倒され、個性派集団がそれぞれの持ち味をいかんなく発揮しながら、苦境にめげず、ひとつの目標に向かって一丸となって突き進む姿も見事であった。しがらみの中で進もうとしても動けない現在の男性社会をあざ笑うかのような爽快さがあった。それに比べて男どもは、とつい考えてしまう。

なでしこパワーを貰って飛び出そう

なでしこパワーを貰って飛び出そう

 日本の男性のタイプを表す言葉に「薩摩の大提灯」、「信濃の小提灯」、「肥後の鍬形」というのがあるそうである。信濃人はひとりひとりが小さいながらも提灯を持ち自分の足元を照らしながら行動するが、薩摩人は大将がかかげる大きな提灯のあとを自分は提灯を持たずにぞろぞろついて行く、肥後人はひとりひとりがカブトをかぶった大将、という意味である。薩摩人の一人として異論がないわけではないが、歴史を振り返れば、あるいは周りを見回してもあたらずとも遠からずという気がしないでもない。いずれにしても、統率者のいないばらばら軍団、絶対服従軍団、俺が俺が軍団といったところである。今の政情をみていると、いまだにこれらの軍団は生き残っているようである。なでしこジャパンでは、大提灯の照らす大きな明かりのもと、小提灯が自分の進む道を明るく照らしつつ自在に動きまわり、そして勝負の都度、カブトを手にするヒーローが異なっていた。

 ひたむきさ、常日頃の精進、団結力、重圧に負けない精神力、チームワーク、力には技とスピードで、リーダーの大事さ、機を逃さない果敢さ、失敗に学ぶ勇気、あきらめない粘り、支えるものへの感謝、原点への熱い思い等々。
 これらは世界進出を目指す本格焼酎にとっても大きな教訓である。

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