焼酎・泡盛を知る

焼酎・泡盛の
原料別の特徴

焼酎・泡盛の
原料別の特徴

焼酎は、大きく分けると「主原料」と「麹」からつくられます。
焼酎は蒸留酒ですので、糖分やアミノ酸があるわけではありません。味としては、甘味、酸味、苦味、口当たりの刺激がありますが、
香りが重要です。焼酎はさまざまな主原料から作られているため、全体的にも各タイプ内でも幅広い味わいが楽しめます。

サツマイモ

サツマイモ(芋焼酎)

Sweet Potatoes

さつま芋はやせた土地でも育つ食物として重宝され、江戸期、享保の大飢餓で薩摩の人々を救いました。日本には17世紀末にフィリピン、唐(中国)、琉球を経て薩摩藩に伝わったため、唐芋(からいも)とも呼ばれていますが、領地のほとんどが火山灰で覆われていた鹿児島県や宮崎県南部など、九州南部と東京都下の伊豆諸島が主産地です。
焼酎の原料として最も多く使われているのが、デンプン質の多い品種コガネセンガンです。
この他、ベニサツマ、ベニアズマ、ジョイホワイトなどがあります。中でもジョイホワイトは焼酎原料用として品種改良で生まれた文字通り皮も中身も白い、いわゆる“芋臭さ”のない芋です。これで造ったいも焼酎は淡麗な味わいになります。

主な産地

鹿児島県 宮崎県 東京都伊豆諸島

風味・味わいの特徴

芋焼酎は、ふかしたサツマイモの甘い香りと風味があります。一方で、サツマイモの品種や蒸留方法によっては、ラベンダー、ばら、スミレの花の香り、ライチやマンゴーのフルーティーな香り、紅茶やヨーグルトのような味わいにもなります。

麦

麦(麦焼酎)

Barley

麦は米と並び、人間が最も重宝してきた食物。しかも、主食としてだけでなく、世界的に多くの酒類の原料にも多く使われてきました。麦は銘酒づくりに欠かせないグローバルな穀物であり、もちろん本格焼酎の原料にもなっています。
麦焼酎が日本で最初に誕生したのは、長崎県の壱岐島。この地では麦を常食する習慣があり、古くから麦焼酎を造っていました。壱岐の麦焼酎は、麦3分の2と米麹3分の1を原料に造られます。
その後、麹も仕込みも大麦という「麦100%」の大分麦焼酎が誕生し、全国に一大ブームを巻き起こしました。

主な産地

九州全県 特に大分県 長崎県壱岐島

風味・味わいの特徴

麦焼酎は、麦のような香りとすっきりとした甘みが特徴です。蒸留方法によってナッツにも似た焙煎した麦のような豊かな風味のあるものから、さわやかな果実の香りのすっきりとしたものまで、幅広い味わいが楽しめます。

米

米(米焼酎)

Rice

日本の食生活の一番の主役は、なんといってもお米です。お米は、主食としてだけでなく、焼酎の原料としても長く重宝されてきました。たとえば、多くの焼酎ではアルコール発酵させるための麹(こうじ)造りにお米が使われています。それをベースにして、次の製造段階で芋・麦、そばなどの各種焼酎に分かれていくのであり、最後までお米を使ったのが米焼酎です。米焼酎は、とことん日本の主食にこだわった焼酎です。
また、その中で代表格である球磨焼酎は、美しい景色と水が自慢の球磨地方で育まれただけあって、旨みにコクがあって飲みごたえがあります。全国津々浦々で米造りが行われているのと同様に、米焼酎造りも今では全国的になっています。

主な産地

熊本県球磨地方 全国の各県

風味・味わいの特徴

米焼酎はまろやかな味わいで、ほんのり甘みがあります。他の焼酎と同様に、蒸留方法によっては、米焼酎も軽くてフローラルな味わいになります。清酒の吟醸香のようなフルーティな香りがするものもあります。

黒糖

黒糖(黒糖焼酎)

Brown Sugar

サトウキビから作られる黒糖を原料とした黒糖焼酎は、奄美諸島の特産品です。長寿の島として知られるこの地方では、お酒といえば黒糖焼酎です。
黒糖の原料となるサトウキビは、糖度が最も高くなる2月頃に収穫され、焼酎は黒糖と米麹を使って仕込まれます。その刈り入れの風景は奄美の島々の風物詩のひとつです。

主な産地

鹿児島県奄美群島

風味・味わいの特徴

黒糖焼酎は、軽くてさわやかで、黒糖の甘い香りがします。焼酎自体に糖分がほとんど含まれていないにも関わらず、ほんのりとした甘みを感じます

ソバ

そば(そば焼酎)

Soba

「そば」の原産地は東南アジア北部といわれ、中国・朝鮮から日本に渡ってきたと言われています。
奈良時代以前から食用として栽培されてきた歴史ある食物ですが、お酒の原料となったのは、ずっと後のことでした。いわゆる「そば焼酎」として、宮崎県で誕生したのが昭和48年頃です。

主な産地

宮崎県 長野県 全国の各県

風味・味わいの特徴

そば焼酎は軽く、なめらかな口当たりが特徴。白い花や緑の香りと、ほんのりとした甘みと深みのある味わいです。

泡盛

泡盛

Awamori

泡盛は細長い粒をした硬質のインディカ米と沖縄原産の黒麹菌を使用した黒麹を発酵させて蒸留した、いわゆる全麹仕込みの蒸留酒です。
日本最古の蒸留酒である泡盛は、500年以上も前の15世紀に当時シャムと呼ばれていたタイから酒とともに製法も伝わったと考えられています。朝鮮政府が編纂した「李朝実録」によれば、1477年、朝鮮の済州島民が琉球に漂着したときの見聞の中に「那覇には、清、濁の酒及び南蛮の酒がある」と記しています。また、1853年に琉球を訪れたアメリカのペリー提督は晩餐会で飲んだ泡盛を「芳醇で、まろやかに熟していた」と絶賛したといいます。
泡盛は、琉球王朝時代から外交には欠くことのできないお酒だったのです。

主な産地

沖縄県

風味・味わいの特徴

他の地域の米焼酎とは製法が違い、泡盛特有の風味を持っています。
まろやかで素朴な味わいで、後味にほんのり甘みがあります。熟成した泡盛は、バニラのような甘い香り、ふくよかな香りとのコクのある味わいが特徴です。
特に、熟成期間を長くして造った古酒(クース)泡盛は特有の香りと濃厚な丸味があります。

酒粕

酒粕(酒粕焼酎)

Sake lees

酒粕は、清酒製造の際にできる固形物です。酒粕自体に8〜12度程度のアルコールとでんぷんが含まれているため、焼酎造りの材料として使われてきました。
明治の中頃までは、甘藷焼酎や米焼酎は九州南部のローカルなものであり、一方、酒粕焼酎は、日本酒製造業者の副業として全国的に造られていました(東北や北海道を除く)。

酒粕焼酎は、造り方によって大きく2種類あります。粕取り焼酎と粕もろみ取り焼酎です。

その他

その他の原料

Others

そのほかにも多くの原料があります。

穀類、いも類、酒粕の他に、あしたば、あずき、あまちゃづる、アロエ、ウーロン茶、梅の種、えのきたけ、おたねにんじん、かぼちゃ、牛乳、ぎんなん、くず粉、くまざさ、くり、グリーンピース、こならの実、ごま、こんぶ、サフラン、サボテン、しいたけ、しそ、大根、脱脂粉乳、たまねぎ、つのまた、つるつる、とちのきの実、トマト、なつめやしの実、にんじん、ねぎ、のり、ピーマン、ひしの実、ひまわりの種、ふきのとう、べにばな、ホエイパウダー、ほていあおい、またたび、抹茶、まてばしいの実、ゆりね、よもぎ、落花生、緑茶、れんこん、わかめ
など

麹について

麹について

Koji

麹はあらゆる焼酎に使われている必須の原材料です。
麹とは、蒸した米や麦などを原料に培養した麹菌のことです。米麹、麦麹、芋麹など、多様な原料から造られます。

焼酎造りには多種多様な麹菌が使われています。
最も一般的なのは白麹菌で、泡盛や一部の焼酎に使われるのは黒麹菌です。黄麹菌は温暖な地域で使用するため、手入れが必要であり、焼酎の製造にはあまり使われません。

麹菌の特徴

黄麹菌

清酒造りに古くから使用されてきた。
クエン酸の生成はしない。少数の特別な焼酎に使われている。

黒麹菌

沖縄で泡盛造りに古くから使われてきた。クエン酸を生成する。全ての泡盛と、九州を中心としていくつかの酒蔵で使用されている。

白麹菌

1918年に発見された黒麹菌の変異種で最も広く使用されている麹菌。
クエン酸を生成する。

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